あけてはならぬ、箱。
「あけてはならぬ、と、神々は言った。」
ティタン神 プロメテウス は、人間に火を与えた——神々から盗んで。怒ったゼウスは彼を岩に縛り、鷲に毎日肝臓を啄ませる罰を与えた。だがそれでは足りなかった。人間にも罰を。
鍛冶神ヘパイストスに命じて、土から美しい女を作らせた。アテナは織物を、アフロディーテは魅惑を、ヘルメスは狡知を授けた。「すべてを贈られた者」——パンドラ。
彼女は地上に降り、プロメテウスの弟エピメテウスの妻となった。手土産はゼウスから持たされた 一つの箱。「決して開けるな」と告げられた箱を、好奇心に負けて彼女は開けてしまう。なお、一般には「箱」と呼ばれるが、古い伝承では甕に近い容器だったともされる。
中から飛び出したのは——病気、嫉妬、憎悪、貧困、苦痛、老い、争い。すべての災いだった。慌てて蓋を閉じたとき、最後にひとつだけ残っていた。希望(エルピス)。
なぜ希望は災いと一緒に閉じ込められていたのか。なぜ箱の中に残ったのか——「もう開かない」のか、「いつでも取り出せる」のか。2500年、人類はこの問いに答えを出していない。