CHAPTER 01
古代
紀元前 900 — 紀元後 400
人間の身体は、宇宙の理想である。
概要
ギリシャ人は「美には黄金比のような数学的法則がある」と発見した。人体の理想的な比例を彫刻で追求し、神々を完璧な人間の姿で表現する。この「美は計算できる」という発想が、その後 2000年の西洋美術の土台 になる。ローマはそれを実用化し、皇帝の威厳を肖像彫刻に刻み、コンクリート技術でドームと水道橋を築いた。残されたパルテノンとコロッセオが、後にルネサンスの教科書となる。
代表人物
ペイディアス(パルテノン彫刻監督)/プラクシテレス/無名のローマ肖像彫刻家たち
代表作品
パルテノン神殿/ミロのヴィーナス/ラオコーン群像/コロッセオ
313年、コンスタンティヌス帝がキリスト教を公認した。それまで皇帝と神々を称えてきた彫刻は、急速に役目を失う。395年にローマ帝国が東西に分裂し、476年に西ローマが崩壊すると、芸術の主役は教会だけになった。古代ギリシャ・ローマが追い求めた「人間の身体の理想」は、ここから1000年間、地下に眠ることになる。次の章の主題は、もはや人ではない——天上の世界そのものである。