通信制でも失われない、武蔵美の思想と現場力 - kagari gallery.

通信制でも失われない、武蔵美の思想と現場力
この記事は1分に500文字読み進めた場合 11 分で読めます

通信制でも“軽くならない”武蔵美という学び方

武蔵野美術大学の通信課程を調べていくと、まず感じるのは“通信だから学びが軽くなるわけではない” という点です。むしろ、他の通信制美大と比べても課題量・要求されるクオリティ・スクーリングの密度がかなり高め。

その理由はシンプルで、通信課程であっても「武蔵美の教育そのもの」を提供する姿勢が貫かれているから。実技も理論も、簡略版ではなく、大学としての水準を落とさない印象があります。

だからこそ、“ゆるく学べる通信”ではなく通信であっても大学の現場に触れる学び方を選びたい人向けと言えるのかもしれません。

スクーリングで“通う価値”を感じられる通信制

武蔵美の通信教育は、他大学の通信制と比べても「考える」と「つくる」がどちらも同じくらい重いという特徴があります。

  • レポート課題では、資料を読み込み、自分の言葉でまとめる力が求められる
  • スクーリングでは、通学生と同じ教員から、実技の講評をしっかり受ける
  • 通信科目も、単なる提出で終わらず、フィードバックが細かい

また、通信生でも使用できる施設は多く、スクーリングでは絵画アトリエ、版画工房、写真スタジオ、木工・金工工房など、通学生と同じ制作環境をそのまま使えます。
図書館や大学付属の美術館・ギャラリーも条件付きで利用でき、「作品をつくりながら思考を深める」という武蔵美らしい学び方が、通信でもしっかり残されています。

学べる学科とその特徴

武蔵美の通信課程は、学科数こそ多くありませんが、その分 ひとつの領域を深く掘り下げる構造 となっています。どの学科も「通信だから簡易版」ではなく、通学と同じ“思考の深さ”と“制作の密度” を求める点が特徴です。



学べる学科と費用など、以下にまとめました。
※この記事は、2026年度入学向け(2025年度時点)の情報を参考にしています。

油絵学科]絵画表現コース

基礎デッサンから油彩、素材研究まで、絵画表現を体系的に学ぶコースです。
絵を“描く技術”だけではなく、「なぜその表現なのか」を言語化しながら制作を進めるスタイルが特徴。
スクーリングでは広いアトリエで集中的に制作でき、絵画にしっかり向き合いたい人に向いています。

  • スクーリングでは広いアトリエで“通学生と同じ環境”で描ける
  • 講評は丁寧で、指摘が鋭い(口コミでも言及が多い)
  • 「描く力」だけでなく「なぜ描くのか」という思考も問われる
区分項目金額
出願時選考料25,000円
1年目入学金30,000円
授業料330,000円
スクーリング受講料120,000円
(15,000円×8単位)
1年目合計505,000円

卒業までの合計金額(目安)
1年次入学(4年間)1,825,000円
2年次編入学(3年間)1,330,000円
3年次編入学(2年間)1,000,000円

油絵学科]日本画表現コース

岩絵具や膠、和紙といった日本画特有の素材に触れながら、伝統技法から現代的な絵画までを幅広く学ぶコース。素材研究に時間をかけられる点や、スクーリングで実践的に技法を身につけられる点が強みです。
「日本画としての型」を学びつつ、自分の表現をどう更新していくかも問われます。

  • 伝統か現代か、といった二者択一ではなく「自分の表現」を問われる
  • 素材の扱いから丁寧に学ぶ
  • スクーリングで実際に手を動かしながら技法を習得
区分項目金額
出願時選考料25,000円
1年目入学金30,000円
授業料330,000円
スクーリング受講料120,000円
(15,000円×8単位)
1年目合計505,000円

卒業までの合計金額(目安)
1年次入学(4年間)1,825,000円
2年次編入学(3年間)1,315,000円
3年次編入学(2年間)985,000円

デザイン情報学科]デザイン総合コース

グラフィック、Web、映像編集、写真、編集デザインなど、デザイン領域を横断的に学べるコース。
Adobeツールを使った制作や、言語化・プレゼンテーションまで含むため、実務にも応用が効くカリキュラムです。“技術”よりも“考えるデザイン”を重視している点がムサビらしいところ。

  • Adobe必須(Illustrator、Photoshop、InDesignなど)
  • 実務につながる課題が多い
  • 「つくる」だけでなく「言語化する力」を重視
  • スクーリングでは制作環境・設備が充実
区分項目金額
出願時選考料25,000円
1年目入学金30,000円
授業料330,000円
スクーリング受講料114,000円
(15,000円 × 6単位)
(12,000円 × 2単位)
1年目合計499,000円

卒業までの合計金額(目安)
1年次入学(4年間)1,810,000円
2年次編入学(3年間)1,333,000円
3年次編入学(2年間)955,000円

芸術文化学科]芸術研究コース

美術史・文化史・思想・批評など、実技ではなく「芸術の背景を読み解く学び」が中心のコース。
資料を読み、整理し、自分の言葉で論じる力が身につきます。作品をつくる側だけでなく、芸術を「考える」「言葉にする」ことを軸にしたい人に向いています。

  • とにかく読む量・書く量が多い
  • 引用・文献・構成など論述の基礎がしっかり身につく
  • 表現者の「言葉」を鍛える場として評価が高い
区分項目金額
出願時選考料25,000円
1年目入学金30,000円
授業料330,000円
スクーリング受講料129,000円
(15,000円 × 3単位)
(12,000円 × 7単位)
1年目合計514,000円

卒業までの合計金額(目安)
1年次入学(4年間)1,765,000円
2年次編入学(3年間)1,252,000円
3年次編入学(2年間)922,000円

武蔵美通信の口コミを調べてみる

武蔵美の通信は、公式情報だけでは見えにくい部分が多く、実際にどんな学び方になるのか判断が難しい印象があります。そこで、Googleクチコミ、Twitter、note、大学レビューサイトなどから、できるだけ具体的な声を集めて整理してみました。

通信制の中でも“課題量の多さ”や“実技の密度”がよく話題になりますが、実際の声を見ると、その理由や背景も見えてきます。


肯定的な評価

学びの質・スクーリングの密度

デザイン総合コースで入学しても、絵画系の工作系の授業もバンバン取れます。スクーリングでは講師からの直接指導とフィードバックが必ずあります。疑問点をその場で解消できるのでめちゃくちゃ勉強になります。

絵画実技は通学課程以上にレベルが高いと評判なので、
もう少し認知されてもいいと思うんですけどね!

実技はもちろん、学科の講義も幅が広く、所属に関係なく学べる。
いろんな芸術分野に触れられるのがムサビ通信ならではだと思います。

— 在学生、卒業生の口コミより

自分から学べる人に響く学びの設計

武蔵美通信に入ってまず驚いたのは、実技よりも先に“理論の厚み”が来ることでした。
表現の技術だけでなく、その背景にある思想や歴史をしっかり読み解く流れになっていて、美術やデザインを本気で続けたい人にはすごく向いていると感じました。
ずっと「美大で学びたかった」という思いがある人には、自信を取り戻せる場所にもなると思います。

— 卒業生の口コミより

技術だけでなく「なぜそれをするのか」「それがどういう意味か」を学びたい人に、ムサビ通信はよくフィットします。自分から動ける人には「深く学びたい場」として評価が高めです。

多様な学生との交わりが生む刺激

3年次から編入して1年ほど経ちますが、いちばん印象に残っているのはスクーリングでの“他者の存在”でした。
同じ課題でも学生によってアプローチがまったく違っていて、作品を見るたびに「その発想があったか」と衝撃を受けます。
自分の視点が固定されていたことに気づき、思考が広がる感覚がありました。

— 卒業生の口コミより

通信制というと孤独というイメージがありますが、ムサビ通信では「通学生と同じ場所で学ぶ」という環境が、交流の機会を生み、学びの幅を広げているようです。

厳しめの評価

講義・添削の質のばらつき

判断基準がよくわからない添削もあり、学科科目の満足度は担当次第な気がします。

— 卒業生の口コミより

通信制では「先生に直接聞けない」時間が長いため、とくに学科科目は“担当ごとのカラー差”が大きいという声がありました。

課題・添削の難易度の高さ

必修は1回の提出で合格できる人のほうが少ない。
何度も再提出が必要で、4年卒業はかなりハード。

— 在学生の口コミより

課題量・難易度ともに高めで、「ペース管理が一番の壁」という意見が圧倒的に多めでした。

教材の古さ・情報のアップデート

学習指導書が古いままの科目もあった。

— 在学生の口コミより

“通信の課題量に対して、サポートが少なく感じるときがある”
という声もあり、体制については改善点を挙げる口コミが散見されました。

気になる点・注意したい点(正直なメモ)

ここまで読むと「通信なのにすごく濃い学びでは?」と思うかもしれません。ただ、実際に口コミや体験談を追っていくと、ムサビ通信にはあらかじめ知っておいたほうがいい“現実”もあります。
これから検討する人のためにも、いくつか整理しておきます。

  1. 課題量は通信制の中でも多め

    ムサビ通信は「通信だからライトに学べる」という雰囲気ではまったくありません。
    レポート・実技・スクーリングの密度が高く、「働きながら4年で卒業はかなりハード」という声も多いです。しっかり時間を確保する覚悟は必要です。
  2. 添削の厳しさ・再提出の多さは有名

    口コミでもよく見かけるのが、「必修は一発合格が少なく、再提出が当たり前」という意見。フィードバックは丁寧ですが、要求される水準も高く、“とりあえず合格させる通信制”とは方向性が違います。
  3. 理論科目でつまずく人もいる

    ムサビは「考える美大」とよく言われます。
    その分、芸術論・デザイン史・美学などの科目では、文章読解・論述の負荷が大きめ。「実技よりレポートがきつい」という声もあるくらいです。理論が苦手な人は、最初はペースを調整しながらの受講が良さそうです。
  4. スクーリングは日程面で調整が必要

    スクーリングが充実しているのは魅力ですが、「平日含めて日程が組まれることが多い」という指摘もあります。社会人の場合、仕事の繁忙期、子育て、移動時間と費用などとのバランスは要検討です。
  5. 交通・アクセスはややネック

    立地の問題ではありませんが、「東京まで通う負担」は人によって大きく変わります。地方住みの人からは、「スクーリングが旅行レベルの出費になる」という声も。
    ムサビを選ぶなら、通学費を“学費の一部”と考えておくのが現実的です。

まとめると、ムサビ通信は、“通信でもしっかり学びたい人向け”の大学です。自由度はありますが、その分 主体性・時間管理・継続力 が求められます。
一方で、ここまで「考える」と「つくる」が本気で学べる通信制美大は数少なく、難しさと引き換えに得られるものも大きいと感じました。

まとめ

ムサビ通信は、通信制という枠を超えて「本当に美大らしい学び」を提供していると言えます。
しかし、その“らしさ”は快適さとはイコールではありません。時間、費用、意志……すべてを自分で動かす主体性が求められます。

大本命として選ぶなら、それだけの覚悟を持って「つくる」「考える」「伝える」この環境に飛び込む価値が十分にあると私は考えます。