通信でも“現場”がある。大阪芸術大学で学ぶリアルな創作 - kagari gallery.

通信でも“現場”がある。大阪芸術大学で学ぶリアルな創作
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通信制の大学というと、どうしても“孤独な学び”を想像してしまいます。ですが、大阪芸術大学の通信教育部を調べてみると、その印象は少し違いました。

この大学は、「在宅でひとりで学ぶ通信制」ではなく、実際に“学びの現場”を持ちながら学べる通信制です。講義やスクーリング、資格取得、そして充実した設備環境まで、どれも「通信=手軽さ」ではなく、「通信=実践の入り口」として設計されている印象を受けます。

実際に卒業生の声を見ても、スクーリング設備の充実度や、通学課程と同じ先生方から直接指導を受けられる点を評価する声が多く見られました。

京都芸術大学のような完全オンラインの手軽さはないものの、“通わずに完結する通信”ではなく、“通う価値のある通信”として存在しているように思います。

スクーリングで“通う価値”を感じられる通信制

大阪芸術大学の通信教育部の大きな特徴は、通学課程と同じ教員から直接学べるスクーリング(対面授業)です。

数日〜1週間程度の集中形式で行われる授業では、作品制作の指導や講評を通して、他の学生の表現に触れる機会も得られます。この「対面での批評」が、通信では得にくい刺激や学びの深さを生んでいるようです。

授業は火曜〜木曜など平日に実施されることもあり、社会人にとってはスケジュール調整が必要な場合もあります。ただ、通学課程と同じ設備・講師陣・空気感に触れられる機会として、このスクーリングを“通信教育の中で最も価値のある時間”と感じている学生も多いようです。

学べる学科とその特徴

大阪芸術大学の通信教育部は、7つの学科から構成されています。美術・デザイン・写真・建築・文芸・音楽、そして初等芸術教育。いずれも「つくること」と「伝えること」を両立できるカリキュラムが整っています。

学べる学科と費用など、以下にまとめました。
※この記事は、2026年度入学向け(2025年度時点)の情報を参考にしています。

美術学科

通学課程と同じ教員から直接指導を受けられるスクーリングが魅力。
実際の制作スタジオや設備を使って作品づくりを行うため、通信でありながら“現場の空気”を体験できる。
デッサンや油画、彫刻など、素材と手で向き合う学びを重視しています。

音楽学科

演奏技術だけでなく、作曲や録音、サウンドデザインも学べる総合的な音楽学科。通信ながらも専用スタジオでの収録・編集実習が可能で、“耳でつくる表現”を実践的に学びます。
DTMを活用した作曲指導や、現役ミュージシャンの講義も充実。

区分項目金額
出願時入学選考料15,000円
1年目
【手続き時】
入学金30,000円
授業料前期:125,000円
後期:125,000円
面接授業料
(スクーリング)
130,000円
(年平均目安)
テキスト35,000円
(年平均目安)
1年目合計460,000円

卒業までの合計金額(目安)
1年次入学(4年間)1,600,000円
(2年~4年目は380,000円/年)
3年次編入学(2年間)840,000円

デザイン学科

グラフィック・写真・プロダクトなど、幅広いデザイン領域を横断的に学べる。通学と同じ環境で、Adobeソフトや3Dモデリングなどの技術も身につけられます。
スクーリングでは実際の展示やプレゼンを行うこともあり、社会に出すデザインを意識した学びが特徴。

区分項目金額
出願時入学選考料15,000円
1年目
【手続き時】
入学金30,000円
授業料前期:115,000円
後期:115,000円
面接授業料
(スクーリング)
130,000円
(年平均目安)
テキスト35,000円
(年平均目安)
1年目合計440,000円

卒業までの合計金額(目安)
1年次入学(4年間)1,520,000円
(2年~4年目は360,000円/年)
3年次編入学(2年間)800,000円

写真学科

アナログからデジタルまで幅広く学び、写真を“撮る”だけでなく“考える”力を育てる学科です。
スクーリングでは通学課程と同じ設備を使って実習が行われ、現場に近い環境で撮影や編集を体験できます。

建築学科

デザイン性と構造の両面から建築を学び、空間をつくる力を磨きます。
建築士の受験資格に対応したカリキュラムが特徴で、通信でも実務的な建築教育を受けられる環境が整っています。

文芸学科

小説・エッセイ・脚本など「言葉による表現」を磨く学科。
出版社や放送作家として活動する現役プロが講師を務め、書くことで伝える力を徹底的に鍛えます。作品講評を通して、実践的なフィードバックを得られるのも特徴。

初等芸術教育学科

子どもや初心者への“芸術教育”に焦点を当てた、全国でも珍しい学科。美術・音楽・造形などを通して「教える力」と「創る力」を両方育てます。
教育現場で活かせる免許・資格取得が可能で、保育士や教員を目指す社会人学生にも人気。

区分項目金額
出願時入学選考料15,000円
1年目
【手続き時】
入学金30,000円
授業料前期:100,000円
後期:100,000円
面接授業料
(スクーリング)
130,000円
(年平均目安)
テキスト35,000円
(年平均目安)
1年目合計410,000円

卒業までの合計金額(目安)
1年次入学(4年間)1,400,000円
(2年~4年目は330,000円/年)
3年次編入学(2年間)740,000円

通信でも“現場の設備”が使える

大阪芸大スクーリングでは、通学課程の学生が使用する実習室やスタジオをそのまま利用できます。

  • 絵画や版画のアトリエ
  • レコーディングスタジオ
  • 写真暗室・スタジオ
  • 建築・デザインの実験設備
  • 図書館(芸術書・専門書25万冊以上)

「通信でもここまで環境が整っているのか」と驚くほど、創作のための“リアルな現場”が開放されています。通学できるタイミングが限られていても、限られた時間で最大限に“大学で学ぶ実感”を得られる仕組みです。

大阪芸大・通信の口コミを調べてみる

通信課程は、制度の読み取りだけでは見えてこない実態があります。ここでは在校生・卒業生の声や各種口コミサイトの投稿をもとに、「良かった点」と「気になった点」をできるだけフラットに整理します。
個人の体験に基づく内容であることを前提に、検討の材料としてご覧ください。

肯定的な評価

設備・学びの質

楽曲創作能力を高めることを目的として入学した私の様な人間には、大変有意義で学びの多い学生生活となっています。音楽的視野が格段に広がったことに尽きると思います。

設備・環境といったらそれが売りになっているくらい充実しています。芸術劇場というかなり大きく本格的な劇場があったり、授業も広い教室で受けさせていただいています。

— 在学生、卒業生の口コミより

設備の充実は、多くの口コミで高く評価されています。
通信制でありながら、通学課程と同じ環境で作品制作を行える点に魅力を感じている学生も多く、「施設のスケール感」や「現場感」を重視する人にとっては満足度が高いようです。

多様な学生・コミュニティ

スクーリングでお会いした方々は、10代から60代までと年代も幅広く、入学目的も職業も様々でした。

— 在学生の口コミより

スクーリングを通して、幅広い年齢層や職業の学生と出会う機会があります。この多様さが刺激になり、学び続けるモチベーションにつながっているようです。

入学・学びの門戸

通信=孤独ではありませんでした。SNSで他の学生さんと繋がり、Zoom中継のように課題を共有することも。

— 在校生の口コミより

近年はオンラインツールを活用した交流も増え、「通信でもつながりながら学べる」環境が整いつつあります。
孤独に陥りやすい通信制の課題を、学生同士のネットワークが支えている印象です。

厳しめの評価

難易度・卒業の壁

やはり、専門科目の和声が難関でした。スクーリングは通りましたが、レポートは何回も落とされました。通信制の大学は大学によるとは思いますが、基本高校を卒業していれば誰でも入学できます。ただ、卒業となるとかなり厳しいということを実感しました。

— 卒業生の口コミより

入学のハードルは低めでも、卒業まで到達するには相当な努力が必要という声です。とくに課題やレポートが難易度の高いものも多く、学びの継続には根気が求められ、しっかりとした学習計画が必要です。

自己管理の必要性

自分のやる気次第でどうにでもなります。設備はあるので、ここでどうしても学びたいことがあるという人にはいいかもしれません。

— 在学生の口コミより

通信制では、授業の質よりも“自分の進め方”が成果を左右するという声も。課題提出やスクーリング日程の調整など、自己管理の力が欠かせないようです。

アクセス・スクーリングの負担

最寄駅からの無料バスがあっても、それでも20分はかかってしまいます。

— 在学生の口コミより

スクーリング時のアクセス面で不便を感じている声もありました。
大阪芸術大学のキャンパスは自然に囲まれた立地にあるため、「通うたびにちょっとした小旅行のよう」という感想も。交通費・宿泊費を含めて現実的なコストとして考える必要があります。

気になる点・注意したい点(正直なメモ)

一見すると「通信でも現場がある、理想的な環境」に思えますが、実際の学びの中では注意しておきたい点もいくつか見えてきます。
口コミや在学生の声をもとに、現実的な課題をまとめました。

  1. スクーリングのスケジュールが“平日中心”のことも

    社会人や地方在住の学生にとって、これが一番のハードルかもしれません。
    大阪芸大のスクーリングは土日開催もありますが、平日(月〜水)に設定される授業もあるようです。仕事を調整したり、有給を使ったりする必要があるため、計画的に進める準備が欠かせません。
    交通費・宿泊費も含めると、想定以上のコストになることもあります。
  2. 課題量が多く、計画性が求められる

    通信といえど、提出課題の量は少なくありません。「仕事をしながら課題をこなすのは想像以上に大変だった」という声も多く見られます。
    通学過程と同じ講師陣による指導を受けられる分、課題の質も求められるのが特徴。
    しっかり時間を確保して進める必要がありそうです。
  3. サポート体制の“温度差”を感じることも

    質問やレポートのやり取りは、基本的に郵送やメール、オンラインシステムを通じて行います。そのため「返信が遅い」「聞きたいことがすぐに聞けない」という声も。
    通信制全般に言えることですが、自分から積極的に動く姿勢がないと、孤立感を覚えやすいかもしれません。
  4. “続ける力”が一番のポイント

    通信教育は入学のハードルが低い分、卒業まで走り切る人は少数。大阪芸大も例外ではなく、卒業率は1〜2割程度という情報もあります。スクーリングの多さや課題量の多さで、途中で離脱する人も少なくありません。
    やる・やらないがすべて自分次第、という環境を覚悟しておく必要があります。

まとめると、大阪芸大の通信は「実践的で刺激があるけれど、ハードな学び」です。現場を持ちながら学べるのは魅力ですが、その分だけ時間・体力・意志が試されます。
設備や講師陣のレベルは評価が高いので、“環境に食らいつく覚悟”がある人にとっては、価値ある選択肢になると思います。

まとめ

大阪芸術大学の通信教育部は、「通信制でも“現場”を持てる」大学のようです。通学課程と同じ講師陣、同じ施設、同じカリキュラムの一部に触れられる。そこに価値を感じる人には、とても実のある選択肢だと思います。

通信という仕組みの中で、「本格的に芸術を学びたい」と思う人にとって、大阪芸大は現実的かつ誠実な選択肢だと感じます。